今回は、行政書士の「報酬」に関する記事です。
相続手続きの報酬は一部を前金でもらったほうがいい?
という疑問について、行政書士の資格で開業した経験から解説します。
私と同じように「遺言・相続業務」をメインとして、行政書士業を営む予定の新人の方は、ぜひ読んでみてください。参考になれば幸いです。
相続手続きの報酬は一部を前金でもらったほうがいい?
報酬をもらうタイミングは、取扱業務や行政書士の考え方によってそれぞれ違います。
私は、遺言・相続業務を専門に行政書士をやっていまして、相続手続きの報酬は、一部を前金でもらうことをおすすめしています。
理由としては、次のとおり。
- タダ働きを防止するため
- 費用の立て替えのため
それぞれ説明します。
タダ働きを防止するため
報酬の一部を前金でもらっておけば、タダ働きを防止できます。
相続業務は、依頼が完了するまでに少なくとも2〜3か月はかかります。結構長い期間が必要になるので、その途中で何らかの事情で解約される可能性があります。
そうしたとき、場合によって報酬がもらえない、または報酬をもらうのに大変な思いをすることがあります。
なので、報酬の一部を前払いでもらっておきます。そうすれば、少なくとも働いた分の報酬は確保できるので、タダ働きをしないで済みます。
私は経験がありませんが、働いた分までの報酬をもらうために、時間がかかったり、嫌な思いをすることもあるそうです。
費用の立て替えのため
相続業務では、依頼を受けた後、最初に被相続人の出生から死亡までの、戸籍謄本等の資料を集めることになります。
必要な被相続人の戸籍謄本等が少なければいいのですが、被相続人によってはかなりの枚数になることがあります。
戸籍謄本も枚数が増えると、当然費用も増えてきます。なので、それらの費用を立て替えるために、報酬を前金で受け取っておくと便利です。
相続手続きも1件ならいいですが、依頼がいくつか重なったりすると、それらの手続きに必要な戸籍謄本だけでもだいぶいい金額になります。
私が報酬をもらうタイミング
私の場合は、報酬の半分を前金で、残りの半分を依頼完了後にもらうようにしています。
相続手続きの場合、報酬の半分でもそれなりの金額になりますので、立て替える費用で困ることはありません。
それに、戸籍謄本等の収集は早くても1ヵ月近くかかることが多いので、その間にキャンセルされても前金で何とかなります。
相続業務で、報酬を後払いにしている方は、この方法が便利なので試してみてください。
報酬の前払いは嫌がられる?
依頼を受ける前に、しっかりと説明しておけば、報酬を前払いすることについて嫌がられることはないと思います。
私も過去に、特に嫌がられたことはありませんでした。何も説明していないで、いきなりでも請求しない限りは不満に思う依頼人はそうそういないと思います。
報酬に関しては「業務委任契約書」に定める
報酬に関しては、口約束だけでなく、書面にしておくのがおすすめです。
「業務委任契約書」を作成して、報酬の支払方法や支払時期をしっかりと定めておきましょう。
行政書士によっては業務委任契約を締結しないという人もいますが、後々のトラブルを防止する意味でも、しっかりと締結したほうがいいです。
いずれ他の記事で紹介しますが、業務委任契約書は、報酬に関する規定以外にも様々なことを事前に定めておくことができるので便利です。
例えば、解約や違約金に関することなどです。こういった点も曖昧にしておくと、実際にその問題が起こったときにもめることになるので注意です。
私も依頼をいただいた際には、必ず業務委任契約を締結してから業務に取り掛かるようにしています。
業務委任契約書はどう作る?
一番のおすすめは、信頼している先輩行政書士が使っている「業務委任契約書」をいただくことです。
私が使っている業務委任契約書も、開業して間もない頃から現在まで、大変お世話になっている先輩行政書士からいただいたものです。
その業務委任契約書を、長い期間をかけて自分の事務所用に使いやすく改良して、現在相続業務で使っています。
信頼している先輩行政書士がいない場合
開業したばかりで、信頼している先輩行政書士がまだいない場合は、所属する都道府県の行政書士会で「業務委任契約書」を配布している場合がありますので探してみてください。
行政書士会のホームページから「会員ページ」を開きます。すご~く分かりにくいところでダウンロードできたりするので注意して探してみましょう。
ちなみに、行政書士会のホームページにもない場合は、インターネットで雛形を探すといった方法もあります。
ただし、この場合は、そのまま使うのではなく、しっかりと内容を確認したうえで業務委任契約書を使いましょう。内容が間違っている場合があるので・・・。
今回は、ここまでです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。