今回は、行政書士の「相続業務」に関する記事です。
依頼人に取得を任せたほうがいい資料とは?
という質問について答えます。
先に答えを言ってしまうと、それは「印鑑登録証明書(印鑑証明)」です。
以前、こちらの記事を書きました。今回は、この記事の例外ということになります。
≫【行政書士開業】依頼人に書類作成に必要な資料の収集を任せてもいいのか?
どうして印鑑登録証明書の取得を依頼人に任せたほうがいいのか解説します。
依頼人に取得を任せたほうがいい資料とは?
先ほども言ったとおり「印鑑登録証明書(印鑑証明)」です。
相続業務では、遺産分割協議書を作成するときなどに必要となるものです。
印鑑登録証明書は、本人はもちろん取得できるほか、行政書士も依頼があれば本人に代わって取得することができます。
ただし、行政書士が印鑑登録証明書を交付してもらうには、依頼人の「印鑑登録証」を預かる必要があります。これがないと交付してもらえません。印鑑登録証は、印鑑登録証明書の交付を申請できる大事なものです。
依頼人のものを預かって、万が一紛失してしまったりなどとリスクや、交付後すぐに依頼人に返したほうがいいことを考えると、行政書士ではなく依頼人自らが交付してもらったほうがリスクも回避でき手続きもスムーズです。
ちなみに、印鑑登録証明書は、地域にもよりますが、市区町村役場だけでなく関連する施設でも交付が可能なほか、マイナンバーカードを使ってコンビニで交付することもできます。
依頼人に書類の取得を頼む際は、近くの交付可能な施設などを教えてあげると親切です。市区町村役場に行くのが面倒だと先延ばしにする人でも、コンビニなどで交付することができることと知ると比較的早く印鑑証明をもってきてくれます。
依頼人がどうしても印鑑登録証明書を取りに行けないときは?
先ほど言ったとおり、依頼人の印鑑登録証を預かって、市区町村役場で交付の手続きをするしかありません。
ちなみに、印鑑登録証明書を代理で取得するにあたって「委任状」は原則不要です。市区町村役場の窓口にある用紙に必要事項を記入して、印鑑登録証と一緒に提出すれば、交付してもらえます。
印鑑登録証明書が必要なときに気を付けたほうがいいこと
何らかの手続きで印鑑登録証明書が必要なときには、早めに依頼人に伝えることをおすすめします。あってはいけないことなのですが、実印を紛失してしまっていたり、どの印鑑が実印だか分からなくなっていたりする場合があるからです。
つい先日も、依頼人の実印が分からないということがありました。それっぽい印鑑がたくさんあって、どれか実印か分からなくなったそうです。印鑑登録証明書を取得して、その印影(印鑑を紙に押したあと)から印鑑を探すようにアドバイスしましたが、印鑑登録証も見つからないそうです。
こうしたことがあるので、印鑑登録証明書が必要な場合は、早めに依頼人に伝えて確認をしてもらうようにしましょう。そのほうが業務がスムーズに進みます。
ちなみに、実印と印鑑登録証が見つからない依頼人には、新しく実印を作成することをおすすめしましたが、依頼人がもう少し探したいというので現在も捜索中です。
実印を紛失してしまった場合の手続き
どうしても実印が見つからないというときには、新しく印鑑を作成して、その印鑑を実印として使うための印鑑登録をする必要があります。
ただし、次の場合には、先に市区町村役場で印鑑登録証明書の発行を停止する手続きをとる必要があります。
- 実印を外で落とした
- 誰かに実印を盗まれた
こうした場合は、印鑑登録証明書の発行を停止させておかないと、悪用される可能性があるので注意です。
実印と印鑑登録証明書が揃うと、借金の連帯保証人の契約を勝手にされる可能性もあります。そうなると、借金をした人が返済をしない場合、連帯保証人がその人の代わりに借金を返済しなければならないので金銭的な被害が出てきます。
「紛失した実印の廃止」と「新しい実印の登録」
印鑑登録証明書の発行を停止したら、次に「紛失した実印の廃止」と「新しい実印の登録」をします。
どちらも市区町村役場で手続きをすることが可能です。窓口に行って状況を説明すれば、比較的簡単に手続きをすることができます。
私の場合、実印を紛失した経験はないですが、実印を変更した経験はあります。行政書士になる前だったのですが、思った以上に早く簡単に手続きが終わって驚いたのを今でも覚えています。
新しい実印の登録が終われば、作成した印鑑を実印として使えます。
印鑑(実印)の作成について
ちなみに新しい実印の作成は、ネットショップでの作成が、早くて安くてクオリティもいいのでおすすめです。
私の実印もネットショップで作成しましたが、思った以上に立派なものが作れたので満足しています。
店舗によっては、作成した印鑑の印影を確認させてくれるところもあります。そういったサービスを利用すると、印鑑が手元に届いてから「思っていた印影と違う」という後悔をしなくていいので便利です。
今回は、ここまでです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。