行政書士のダブルライセンスで相性のいい資格【おすすめ】

行政書士開業

今回は、行政書士の「ダブルライセンス」に関する記事です。

行政書士のダブルライセンスで相性のいい資格とは?

という疑問について、行政書士の資格で開業した経験から答えます。

行政書士の資格を持っている方で、ダブルライセンスでの開業を考えている方も少なくないと思います。行政書士はダブルライセンスしやすい資格ですからね。

他の資格を目指す際の参考になれば幸いです。

ちなみに、ダブルライセンスとは、資格を2つ持つことで、3つの資格なら「トリプルライセンス」と言います。

行政書士のダブルライセンスで相性のいい資格とは?

次の資格がおすすめです。

  • 司法書士
  • 土地家屋調査士
  • 社会保険労務士
  • 宅地建物取引士

順番に説明します。

司法書士

司法書士は「土地や建物の不動産登記」や「法人に関する商業登記」などの専門家です。

行政書士として相続業務を行う予定なら、相性がいいのでおすすめです。

相続業務では、被相続人(亡くなった方)の遺産に土地や建物などの不動産があった場合、それを相続人名義に変更する必要があります。

その手続きを、司法書士の資格ですることができます。

司法書士試験

司法書士の試験は、次のような理由から行政書士の資格取得後に目指すのがおすすめです。

  • 行政書士よりも難易度が高い
  • 憲法や民法など試験科目が重複している

司法書士試験は、法律系国家資格の登竜門的な位置にある行政書士試験と違い難易度が高いです。取得するに5年や10年かかったという人も少なくありません。

しっかりとした計画を立てて挑戦する必要があります。

土地家屋調査士

土地家屋調査士とは、土地や家屋に関する調査や測量、登記を行う専門家です。

先ほど紹介した司法書士が、土地や建物の「権利に関する登記」を行うのに対して、土地家屋調査士は「表示に関する登記」を行います。

行政書士が取り扱う「農地転用許可」や「開発許可」などの申請の際に、土地家屋調査士の資格があれば業務の幅が広がります。

私が所属している行政書士会の支部にも、土地家屋調査士とのダブルライセンスで開業されている先生が多くいます。

社会保険労務士

行政書士の資格は「労務管理」や「社会保険」を専門とする社会保険労務士とも相性がいいです。

行政書士が取り扱う「会社設立業務」では、会社設立後に社会保険労務士の顧問契約を締結できる可能性があります。

試験の難易度も、行政書士試験と大差がないので、ダブルライセンスで開業しやすいと言えます。

私が開業した頃は、このダブルライセンスで開業している方はまだまだ少ない印象でしたが、最近になって増えたように感じます。私のまわりだけかもしれませんが、去年、今年と名刺交換した方で、社労士と行政書士のダブルライセンスの先生が多くいました。

宅地建物取引士

最後は、宅地建物取引士(宅建)です。
宅地建物取引士は、土地や建物の売買・交換・賃貸などの取引に必要な資格です。

実際に取引をするには、宅建業の許可が必要になりますが、行政書士が取り扱う「相続業務」では、不動産の売却が必要となることもありますので、宅地建物取引士の知識だけでも十分に役立ちます。

資格の難易度は、行政書士よりも低いので、行政書士資格をまだ持っていないという人は、先に宅地建物取引士の資格を取得するのがおすすめです。試験科目が重複しているものがありますから。

ちなみに、行政書士で宅建試験に合格している人は多いです。未登録で名刺に書いていない人が多いですが、聞くとかなりの確率で持っています。

行政書士のダブルライセンスで開業するメリット

次のとおり。

  • 年収アップ
  • 差別化
  • ワンストップサービス

依頼の中には、行政書士の資格だけでは完遂できないものもあります。

例えば、相続手続きの依頼などです。
相続手続きには、不動産の名義変更もありますからね。

そういった時、行政書士は、提携している司法書士事務所に不動産の名義変更を依頼します。

司法書士と行政書士のダブルライセンスで開業すると、そういった依頼が、自分の事務所だけで完遂することができるようになります。

収入アップにもなりますし、他の事務所との差別化にもなります。

また、ひとつの事務所で様々な依頼を完遂できることを「ワンストップサービス」と言いますが、それも可能になります。

どの業務をどの士業に頼めばいいのか分からないという依頼人は多いですからね。ワンストップサービスは依頼人にとってもメリットが大きいです。

ダブルライセンスの注意点

両方の資格を活かせる「取扱業務」を選んで専門にしましょう。
年収アップや差別化などのメリットは、両方の資格が活かせてこそのものですからね。

また、両方の資格があれば、誰でも年収がアップするわけではない点にも注意です。それに合わせた営業やマーケティングが必要になります。

それと、行政書士以外の資格を取得していないという方は、他の資格を取得するまでの費用や時間を考慮する必要があります。場合によっては行政書士のみで開業するのもひとつの手です。

行政書士のダブルライセンスは必要なのか?

様々なメリットが期待できる「行政書士のダブルライセンス」ですが、必ずしも必要ではありません。

行政書士の資格のみでも成功している人は大勢いますからね。

ダブルライセンスでの開業を考える場合は、将来やることになる業務が「本当にやりたい業務なのか?」を考える必要があります。

そうしないと、ダブルライセンスで開業しても仕事に飽きます。

行政書士の資格だけでの開業は不安

こういった人が多いですが、それはやり方しだいです。

行政書士の資格だけで、年収1,000万円以上稼ぐ人もいますから。

ダブルライセンスにする目的が「行政書士だけでは不安」という理由だけなら、他の資格は取得しなくていいと思います。

その昔、先輩行政書士が言っていましたが、行政書士だけの資格で食べていけない人は、ダブルライセンスになっても食べていけない可能性が高いそうです。

今は、私も同じように思っています。