今回は、行政書士の「職務上請求書」についての記事です。
- 職務上請求書とは?
- 職務上請求書は使用しないほうがいいのか?
という質問について答えます。
開業して間もない行政書士向けの記事です。
職務上請求に慣れていない方はぜひ読んでみてください。
職務上請求とは?
職務上請求とは、お客さんから依頼を受け、その業務に必要な範囲で第三者の戸籍謄本や住民票などを市区町村役場に請求できるというものです。
本来は、お客さんから委任状をもらって請求できる戸籍謄本や住民票が、職務上請求書を使用することで委任状なしで請求できるようになります。
そして、この職務上請求の制度は、弁護士や司法書士、税理士、土地家屋調査士、行政書士などの士業が利用することができます。
もちろん、行政書士である私も使えます。
行政書士登録が終わり、行政書士としての活動ができるようになると、所属する行政書士会で「職務上請求書」を購入して業務で使うことができるようになります。
委任状がなくても戸籍謄本や住民票が手に入るのは、想像以上に便利で、業務をスムーズにすすめるためにはなくてはならないものです。私も、実際に実務で使うまでは、こんな便利なものだとは思っていませんでした。
職務上請求書を使うには厳格な要件がある
職務上請求書は、第三者の戸籍謄本や住民票を、委任状なしで請求できるわけですから、使用するには厳格な要件があります。
その要件を無視して使用すると、懲戒処分を受けることになるので使用には細心の注意が必要になります。
使用できるケースを間違わないことはもちろん、紛失にも注意しなければなりません。拾った人が悪用することもできますからね。
依頼がないと職務上請求書は使えないのか?
職務上請求書は、お客さんからの依頼がないと使えません。
依頼を受け、行政書士としての業務を行うにあたって、必要な範囲でしか使うことを認められていませんので、第三者の戸籍謄本や住民票を勝手に取得することはできないということです。
例えば、行政書士が作成を依頼される書類に「法定相続情報一覧図」があります。この書類作成に必要な範囲であれば、職務上請求書の使用は可能ですが、関係のない人の戸籍謄本や住民票は職務上請求書によって取得することはできません。
職務上請求書は使用しないほうがいいのか?
何か特別な事情でもない限りは、使ったほうがいいです。
職務上請求書を使わない場合、通常は依頼人から委任状をもらうことになりますが、枚数が多いと依頼人の負担になります。
私が専門とする相続業務では、戸籍謄本や住民票などを収集することが多いので、委任状で対応すると枚数がとても多くなります。職務上請求書を使うことで、委任状に署名捺印する依頼人の負担を減らすことができます。
「職務上請求書」と「委任状」のどちらを使って戸籍謄本や住民票などの資料を収集したほうがいいのか悩む場合は、職務上請求書を使いましょう。使い方や書き方などに神経は使いますがとても便利なものです。
慣れてくれば、委任状よりも使い勝手がいいことが理解できると思います。
職務上請求書は使いにくい?
行政書士の中には、職務上請求書を使うのに抵抗があるという人も少なからずいます。
- 間違って使用したら処分されるから
- 使い方を理解するのが面倒くさいから
などといった理由からです。
行政書士によっては、一度も使ったことがないという人もいます。
依頼人から委任状を取得する枚数が少なければ、それでもいいと思いますが、そうでないなら、依頼人の負担を少しでも減らすために職務上請求書は使うべきです。
職務上請求書の使い方・書き方が分からないときは?
同じ業務を扱っている先輩行政書士に相談をするのがおすすめです。同じ経験をしている可能性が高いので、きっと助けになってくれるはずです。
そういった質問をしやすいように、普段から行政書士会の支部活動に積極的に参加して良い関係を築いておきましょう。行政書士会で実施されている定時総会や賀詞交歓会、研修会、勉強会、地域のイベント、懇親会などに参加していれば自然と距離が縮まります。
私は、初めて職務上請求書を使ったときには、念のため先輩行政書士に確認の電話をしました。少しイレギュラーな点があったのが気になっていたので、問題ないとの返事をいただいたときには安心したのを今でも覚えています。
「間違った使い方=懲戒処分」と考えると怖いですからね。最初は、どんな細かいことでも確認をとるのがおすすめです。
ちなみに、職務上請求書が原因で懲戒処分を受ける行政書士は、残念ながら毎年のようにいます。注意するに越したことはないです。
今回は、ここまでです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。