今回は、行政書士の「業務」に関する記事です。
依頼人に書類作成に必要な資料の収集を任せてもいいのか?
という質問に答えます。
行政書士が書類を作成するのにあたっては、戸籍や住民票など官公署で交付される資料が必要になることが多くあります。
その書類を収集するのに、行政書士自身が収集したほうがいいのか?それとも依頼人に任せてもいいのか?この記事を読んでいただき判断してみてください。
依頼人に書類作成に必要な資料の収集を任せてもいいのか?
結論から言うと「任せないほうがいい」です。
依頼人が、そういった資料の交付申請に慣れていれば別ですが、慣れていない場合は取得するまでに時間がかかります。
場合によっては、想像以上に資料の取得が遅れ、業務がそれによって進められず、依頼を完遂するまでの期間が延びてしまいます。
例えば、相続業務では・・・
私が専門とする相続業務では、次のような書類を作成することが多くあります。
- 相続関係説明図
- 財産目録
- 遺産分割協議書
これらの書類を作成するにあたっては、戸籍謄本、住民票、登記事項証明書、固定資産税評価証明書などの書類が必要になります。
これらの書類に関しても、依頼人に任せるよりも、行政書士自らが取集に動いたほうが早い場合が多いです。
開業して間もない頃に受けた相続手続きの依頼で、依頼人に戸籍の収集を任せたことがあったのですが、取得するまでに2週間近くかかったことがありました。
依頼人に、こうした資料の収集を任せるか悩んでいる方は、依頼人に任せると想像以上に取得が遅れる可能性がありますので、自分で収集したほうが無難です。
資料の収集を依頼人に任せている間に他の作業を進めたい
こうした考えがあって、依頼人に資料の取集を頼むケースもあると思います。依頼人が資料の収集をしている間に、他の作業を進めたほうが効率いいですからね。
しかし、思い通りにいかないこともあります。
先ほどの依頼人に資料の取得を任せて2週間近くかかった時は、結局、他の作業が終わってからも待たされる結果となり、依頼人に資料の収取を任せたことを後悔することになりました。
必ずしも効率がよくなるとは限らないので、このあたりは注意したほうがいいです。
どこでどうやって資料を取得できるか分からない?
依頼人によっては、こうしたことが分からないということもあります。行政書士が知っていて当たり前だと思うことでも、知らないという人はたくさんいます。
丁寧に説明すれば分かるという人もいますが、丁寧に説明されても分からないという人もいます。
以前、とある事情から戸籍の一部をお客さんにお願いすることがありましたが、どこで戸籍を取得するのかが、まったく分からないという人もいました。
丁寧に説明しましたが、これまでほとんど市区町村役場に行ったことがないらしく、説明されてもイメージが湧かなかったようです。
市区町村役場で分からないことがあったら電話をして欲しいと伝え、何度か電話がかかってきて説明した末に、ようやく戸籍を取得することができました。
どうしても依頼人に資料の取得を任せる場合
とは言っても、どうしても依頼人に資料の取得を任せたいということもあると思います。そういった場合は、どこでどうやって資料を取得するかを、これでもかというほど丁寧に説明しましょう。
- 取得できる官公署の場所
- 官公署の部署(課)
- 取得する資料の名称
- 申請書に記載する内容
- 添付書類
「取得する資料の名称」については、必ず正式名称で伝えましょう。行政書士同士で会話するような略称での説明は不親切です。略称が理解できなくても、質問してこない依頼者もいますので、それはこちらが気を付けるべきです。
それと、交付するための申請書に書く内容で、何かを確認しないと書けないものは事前に言っておかないと、申請できず2度手間になる可能性があるので注意です。
これらの内容は、口頭で教えるだけでなく書面にして渡しておくと便利です。依頼人が迷ったときに官公署の職員に書面を見せて相談できるからです。
ここまでやると、知識のない依頼人でも資料の取得ができるようになります。
依頼人への説明は簡潔に
依頼人に対して、あれこれと複雑に説明してしまうと混乱してしまう人もいます。行政書士としては、後々のトラブルを防止したいので、できる限り詳細に説明しておきたいところですが、上手く簡潔に説明しないと逆効果です。
重要な点は「口頭」と「書面」で、それ以外の点は「書面」で説明することをおすすめします。書面は簡潔に分かりやすく書くようにします。
ちなみに、重要な点を口頭と書籍で説明するのは、書類をちゃんと読まない依頼人がいるからです。
以前、重要な点を用紙の一番上に赤字で書いたことがあるのですが、それでも読まない依頼人がいました。私もそこまでして読まないとは思いませんでしたので、結果として手続きが遅れました。クレームになることはありませんでしたが、業務が遅れるのは避けたいところです。
今回は、ここまでです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。