今回は、行政書士の「遺言・相続業務」に関する記事です。
遺言・相続業務をするなら、判例集は読んだほうがいいのか?
という質問について答えます。
「遺言・相続」は、行政書士業務の中でも人気の分野です。
メインの取扱業務としている事務所も多くあります。
判例集が実務で役に立つのかを解説します。
【行政書士開業】遺言・相続業務をするなら、判例集は読んだほうがいいのか?
行政書士試験のときに、判例集を使って勉強した人も多いと思います。
この判例集ですが、行政書士として遺言・相続業務をするなら、開業後も役に立つので読むことをおすすめします。
他の行政書士業務でも役に立つことはあると思いますが、私の専門が遺言・相続なので、この記事では遺言・相続に限って話をさせていただきます。
判例集とは?
ご存知のとおり判例集とは、裁判の判決を集めた出版物のことです。
現実に起きた事件についての詳細が書かれているので、とても具体的に事件の内容を知ることができます。
- どういった経緯で裁判にまで発展したのか?
- 裁判所は、どのように法的判断をしたのか?
自分が経験していないにも関わらず、実際に起きた事件の経緯を知ることができます。書店で販売されている本を読むだけで、詳細な裁判の情報を得ることができるのはとても有益ですよね。
判例集のすべてを覚えたほうがいい?
判例集は過去の裁判の判例を集めているので、掲載されている判例の数は膨大です。
なので、そのすべてを覚えるのは大変すぎますし、覚える時間を他の営業などの時間に使ったほうが有意義です。
判例集は、自分の取扱業務に関連するところを読んで、有名な判例や使えそうなところだけを部分的に覚えておけば十分です。
本当にそれらの知識が実務で必要になったときに思い出して、判例集を読み返して詳細を調べることができれば、実務で困ることはないでしょう。
相談者から相談された内容に近い事件が判例集に記載されていて、相談のときに詳細を思い出せなかったとしても「後日、お調べしてご連絡をさせていだだきます」と説明をすれば、相談者からの信頼を失うこともありません。
新人行政書士が判例集を読むメリット
判例集を読むメリットは、自分が経験していないにも関わらず、その事件を経験したかのように詳細を知ることができる点です。
これが意外なほどに重要で、判例集を読むことで得た知識を、実務で活かすことができれば、新人の行政書士でもベテランのような信頼感を得ることができます。
新人とベテランの違いのひとつに「経験の差」があります。
相談者からの質問に対して、ベテランの行政書士は過去に自分がした経験を話すことで、相談者からの「信頼感」や「安心感」を得ることができます。
例えば、
- 〇〇の手続きは、過去に何度も扱っていますので安心してください。
- 私の経験上、この申請は問題なく受理されます。
このように、ベテランの行政書士は、開業したばかりの新人行政書士が言えないセリフを相談者に伝えることで、相談者から信頼感や安心感を得て、依頼をしやすい状況を作り出すことができるのです。
判例集は「経験」の代わりになる
判例集を読むことで、新人行政書士でも、先ほどのベテラン行政書士のように相談者から信頼感や安心感を得ることが可能になります。
- 〇〇の件は、判例によりますと〇〇となります。
- 判例では〇〇となっていますので、〇〇しましょう。
こうした感じで、説明したことに対する根拠に判例をもってきて、相談者に伝えることができれは、新人行政書士でも印象がまったく違いますよね。
判例集は経験の代わりになります。経験をしていないことでも、経験したのと同じくらいの説得力がある説明をすることが可能になります。
ベテラン行政書士との経験の差を埋めることに使えます。
まとめ
今回は、開業して間もない行政書士が遺言・相続業務をするなら、判例集は読んだほうがいいのかという質問について、経験をもとに解説しました。
行政書士の補助者をやっていたなど、相続や遺言の手続きについて経験があるなら別ですが、そういった経験のない人は判例集を読むことをおすすめします。
本来はどうやっても埋めることができないベテラン行政書士との経験の差を、判例集で得た知識を説明の際の根拠にすることで埋めることが可能になりますから。
経験の差が埋められれば、ベテラン行政書士と比較されても、選ばれる可能性が出てきます。寝る前の時間などのスキマ時間で十分ですので、判例集は読むようにしましょう。
今回は、ここまでです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。